おばちゃんたちのいるところ

『おばちゃんたちのいるところ』あらすじと書評【世界幻想文学大賞】

世界幻想文学大賞を受賞した松田青子さんの著書『おばちゃんたちのいるところ』
この記事では『おばちゃんたちのいるところ』のあらすじ、書評から「世界幻想文学大賞」について、作者である松田青子さんのプロフィールや経歴について紹介したいと思います。
・『おばちゃんたちのいるところ』のあらすじや書評は?
・世界幻想文学大賞ってどんな賞?
・作者である松田青子さんの経歴やプロフィールは?
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『おばちゃんたちのいるところ』あらすじと書評

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『おばちゃんたちのいるところ』あらすじ

松田青子さんの小説『おばちゃんたちのいるところ』は、2016年12月に中央公論新社より刊行された本です。

副題に『Where The Wild Ladies Are』と添えられているこの本、出版当初から世界文学として英訳されることが期待されていたのかもしれませんね。(タイトルの元ネタについては後述)

気になるのは『おばちゃん』を『The Wild Ladies』と英訳しているところ。

『The Wild Ladies』は直訳すると『野生の女性』ですが、日本語特有の言い回しである『中年女性』を意味する『おばちゃん』のたくましさや力強さを上手に表現した英訳ですよね。

早速ですがあらすじを見てみましょう。

追いつめられた現代人のもとへ、おばちゃん(幽霊)たちが一肌脱ぎにやってくる!
失業中の男に牡丹灯籠を売りつけるセールスレディ、シングルマザーを助ける子育て幽霊、のどかに暮らす八百屋お七や皿屋敷のお菊……そして、彼女たちをヘッドハントする謎の会社員・汀。
古より疎まれた嫉妬心や怨念こそが、あなたを救う!? 胸の中のもやもやが成仏する愉快な怪談17連発。
Amazonより

『おばちゃんたちのいるところ』は全17話の『怪談』で構成された短編小説(短編集)です。

様々なシーンに『おばちゃん』が幽霊として現れ、登場人物の悩みや生きづらさを痛快に吹き飛ばしてくれる、そんなお話です。

落語や歌舞伎、怪談が元ネタになっている部分も多く、日本の伝統的な物語と現代社会が抱える問題がうまく交錯されています。

そんな『おばちゃん』が主役になった物語を、モーリス・センダックの絵本「かいじゅうたちのいるところ」のタイトルにかけているんですね。

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『おばちゃんたちのいるところ』書評

そんな『おばちゃんたちのいるところ』ですが、Amazonでのレビューでも☆4と高評価です。

レビューの内容を一部抜粋してみました。

面白かった!
Aさん

評価: 5松田青子という作家名も知らず、なんの予備知識もなく手に取りました。
いわゆる「おばちゃん」に題をとったアンソロジーなのかなと思いつつ手に取りましたが、
読み始めてみると、確かにおばちゃんも出てくるけれど、なんだか様子が違う。
どっちかというシュールもの?日常ファンタジー系?と思いつつページを繰っていくにつれ、
テンポの良い会話劇と、謎でありながら小気味よい展開にぐんぐん引き込まれていきました。
そしてその謎は話がすすむにつれだんだん解かれていきます。

幽霊ものともひとくくりにできないー幽霊と生者が同じ職場で雑談しながら働いていたりする―、
とにかく楽しい一冊でした。

また、「おばちゃん」に「Wild Ladies」という英訳を当てているところも秀逸。
翻訳家でもある著者ならではのウィットだと思いました。確かに皆さんWild。

この作家の他の著書も読んでみたくなりました。

松田青子を最初に読むならこれ
Tさん

評価: 5松田青子は、ちょっとかわったテイストの作品を書く作家で翻訳家。
現実がどっかずれているような作品、とでもいうのかな。だから同じように変な作家カレン・ラッセルの翻訳もぴったりとあっている。
その変なテイストがコンパクトに凝縮された短編がたくさん収録されているのが本書。
登場人物たち、死者も生者も区別がつかないし、むしろ死んだらいろいろなこだわりがなくなって、かえって楽に生きられる。おばちゃんの達観もそんなところかも、と。その死者にも、元ネタがある。アトピーの女性が、お岩に親近感を持ったり、とか。巻末に、元ネタの落語がなにか示してある。ということでは、松田のナンセンスの源流を見るような気がします。
タイトルは、もちろんセンダックの絵本から。

一方で「内容が薄い」「途中で飽きた」「期待した内容ではなかった」という声も一部聞かれましたが、書評としては概ね高評価である印象でした。
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『おばちゃんたちのいるところ』が世界幻想文学大賞受賞

そんな松田青子さんの『おばちゃんたちのいるところ』が受賞した「世界幻想文学大賞」とはどんな賞なのでしょうか?

調べてみました。

世界幻想文学大賞とは?

世界幻想文学大賞とは英語で1975年に創設されたアメリカの文学賞です。

英語での名称は「World Fantasy Award」であり、名前の通り賞の対象作品は「ファンタジー」が中心です。

ファンタジーと言ってもかなり裾野が広いですが、宇宙や未来を舞台としたSF作品や、ホラー作品なども含まれるそうです。

世界幻想文学大賞には長編、中編、短編と様々な部門がありますが、2006年には村上春樹さんの「海辺のカフカ」が長編部門で大賞を受賞、2019年には「生涯功労賞」としてあの宮崎駿さんも受賞されている賞なんです。

世界幻想文学大賞はヒューゴー賞やネビュラ賞に並ぶ「三大賞」のひとつと言われ、大変名誉ある賞なんです。

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松田青子のプロフィール

松田青子
shosetsu-maru.comより
  • 本名:松田 暢子(まつだ のぶこ)
  • 生年月日:1979年10月11日(42歳)
  • 出身地:兵庫県
  • 職業:翻訳家、小説家、童話作家
  • 最終学歴:同志社大学文学部英文科卒業
  • デビュー作:「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」

「おばちゃんたちのいるところ」作者の松田青子さんのプロフィールです。

本名は松田暢子(まつだ のぶこ)さんといい、「青子」と言うのはペンネームになります。

「青子」というペンネームの由来は、松田さんが松田聖子の大ファンで「青子」という名前を「せいこ」と読み間違えたら面白いと考えたからだそう。

1979年生まれの42歳、出身は兵庫県になります。

関西の名門、同志社大学の文学部英文科を卒業されています。

大学在学中には劇団「ヨーロッパ企画」で役者としても活動されていました。

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9年間在籍したヨーロッパ企画を退団後、2010年に『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』で作家デビュー。

2013年には『スタッキング可能』で三島由紀夫賞や野間文芸新人賞の候補にもなりました。

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おばちゃんたちのいるところまとめ

まとめます。

 ・おばちゃんたちのいるところが世界幻想文学大賞を受賞
 ・松田青子さんは兵庫県出身の42歳
 ・世界幻想文学大賞はヒューゴー賞・ネビュラ賞に並ぶ三大賞
最後までお読みいただきありがとうございました!

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