4月11日ゴールデンにTBS特番「テレビ史を揺るがせた100の重大ニュース 平成・令和の未解決事件 春の大追跡SP」で『史上最大の銀行強盗』と題して福徳銀行5億4000万円強奪事件を再現ドラマ化するそうです。
番組で紹介された概要はこちら。
1994年に神戸市で起きた「福徳銀行5億4千万円強奪事件」。実行犯2人が特定されたものの逮捕には至らず2002年に時効を迎えました。
のべ13万人もの捜査員が投入されながらなぜ迷宮入りしたのか。当時の捜査資料や捜査員など関係者の証言を元に“史上最大の銀行強盗”の真相を再現ドラマで描きます。
番組公式サイトより
犯人は一体誰なのか?グリコ森永事件との関係は?福徳銀行強盗は今どうなっているのか?調べてみました。
福徳銀行5億4000万円強奪事件とは?
福徳銀行5億円強奪事件とは、1994年に発生した現金強奪事件のことです。『銀行強盗』としては国内最高金額であることから、『史上最大の銀行強盗事件』と言われています。(単に強奪事件とすれば2011年の「立川6億円強奪事件」が国内最高金額です)
強奪事件の経緯
1994年8月5日の朝9時ごろ、神戸市中央区三宮町にある福徳銀行の車庫で事件は起きました。
行員3人が現金輸送車から現金が入ったジュラルミンケース3個を下ろそうとした時です。
2人組の男が行員に近づき、拳銃のようなものを向け、ジュラルミンケース3個に入った現金5億4000万円を強奪。
乗り付けてきた盗難車を猛スピードでとばして逃走、車は現場から600m先の路上に乗り捨てられていたそうです。
その後警察は13万人もの捜査員を投入し必死の捜査を行いましたが、結局犯人は捕まらず、8年が経過。
2002年に事件は時効を迎えました。
犯人は森本?
犯人は捕まらないまま事件は時効を迎えてしまいましたが、もちろん警察も何もしなかった訳ではありません。
行員3人の聴取により、犯人の以下のような人物像が明らかになりました。
犯人A
- 年齢40歳くらい
- 身長170cmくらい
- グレーの作業服にサングラス
犯人B
- 50歳くらい
- 身長172cmくらい
- ベージュの作業服
- 顔にミイラのように包帯を巻いていた
んー、40歳から50歳の身長170cmの男性、日本に何人いるんでしょうか?(笑)
これでは残念ながらなんの特定にもなりませんね。
もちろん警察はさらに詳しい犯人像を内部で共有していたと思われますが、一般には公開されていないようです。
そして事件から5年後、事件が動きます。
1999年、盗まれたお金の記番号と一致する札が換金されたという情報が入ったのです。
そしてさらに、犯人と思われる元会社員Bが知人に犯行を打ち明けたという情報が入りました。
警察は上記の情報を元に、元暴力団員Aと元会社員Bを容疑者として捜査をすすめました。
ところがその翌月、元会社員Bは捜査当局の事情聴取の直後に自殺してしまったのです。
元暴力団員Aは事件後から海外渡航を繰り返し逃亡していたということです。
そして元暴力団員Aが犯人である決定的証拠もつかめないまま、事件は時効を迎えてしまったのです。
元会社員Bは知人に犯行を打ち明けていることから、相当な良心の呵責があったのでしょう。お金は盗んだものの、使えば足がつく、警察には追われ続ける、そして逃げ隠れすることにも疲れ、刑務所に行くこともできない…。暴力団の絡んだ話であれば、捕まって口を割ったとわかればその後がただでは済まないでしょうから。もう逃げ場がないとわかり自殺してしまったんですね。
時効を迎えたことで「福徳銀行5億4000万円強奪事件」は終わりを迎えますが、その後思わぬ展開を見せるのです。
事件から13年後の2007年2月9日、朝9時ごろ。元暴力団員Aは名古屋市西大須の愛知信用金庫でかつてと同様の犯行におよびます(時刻も同じく午前9時です)。
行員の持つジュラルミンケースの強奪を試みますが、行員の一人に取り押さえられ、駆け付けた警察に現行犯逮捕されました。
しかしこのとき既に「福徳銀行5億円強奪事件」は時効が成立しており、検察側は起訴できませんでした。
そのため元暴力団員Aは「愛知信用金庫強盗事件」として、名古屋地裁から懲役8年を言い渡されました。そしてこの公判では福徳銀行5億円強奪事件については一切触れられなかったそうです。
しかし逮捕起訴され実刑判決を受けたことから実名が公表され、犯人は「森本喜博」という名前であることがわかりました。
2度目の犯行におよんだ2007年、森本は56歳。奪おうとした愛知信用金庫のジュラルミンケースの中身はというと、パソコンとフロッピーディスクのみだったそうです。
1994年であれば現金が入っていたはずのジュラルミンケースですが、13年経つと世界は変わるものですね。
現在は出所していると考えられる森永は、2021年現在も存命であれば70歳になっています。
どのような暮らしを送っているかは全く不明ですが、強奪事件の回想本でも出版すればお金には困らないのではないでしょうか?
元会社員Bはグリコ・森永事件の犯人だった?
1999年に自殺した容疑者である元会社員Bは、「グリコ・森永事件」の犯人でもあるといわれています。
グリコ・森永事件とは、「福徳銀行5億円強奪事件」より遡ること10年、1984年の出来事になります。関西の食品会社に対する一連の脅迫事件で、当日は大変な話題となったそうです。
「グリコ・森永事件」も「福徳銀行5億強奪事件」と同様、未解決のまま時効を迎えた事件で、元会社員Bはこの事件の犯行グループのひとりであると言われています。
『史上最大の銀行強盗:5億4000万円強奪事件』(森下香枝著)などでは、その根拠について触れられています。
同書によると、元会社員Bは福徳銀行5億円強奪事件で奪った金をアパートの屋根裏に隠していたそうです。
このアパートは阪神淡路大震災(1995年1月)によって焼失、現金もすべて燃えてしまったとのこと。強奪事件から半年も経たないうちに盗んだお金を失ってしまったのです。
自殺してしまったことには、良心の呵責以外にもいろいろと理由がありそうですが、すべての真相は闇の中です。
福徳銀行は今?
被害にあった福徳銀行ですが、今はどうなっているんでしょうか?
福徳銀行はその後、バブルの不況を受けて経営不振に陥ります。
事件から4年後の1998年には他の銀行とも経営統合しますが、翌年には金融監督庁の検査により1,100億円強の債務超過であることが発覚し、破綻してしまいました。
債務超過とはざっくりいえば借金みたいなものですが、1,100億円強と言われると5億4000万円がかすんで見えますがね(笑)
しかしその債務超過も発端は5億の盗難だったのかもしれませんが、これも真相は不明です。
福徳銀行5億4000万円強奪事件まとめ
ということで、今回は福徳銀行5億4000万円強奪事件について調べてみました。
銀行強盗って、映画やドラマ、フィクションの世界ではよくある話ですが、本当にやろうと思うとめちゃくちゃ大変ですよねきっと。
金の輸送経路を調べて、逃走経路を確保して、その後の逃亡計画やマネーロンダリングの手配など、当日の強奪よりも事前の準備や事後の逃亡の方が遥かに大変そうです。
やはりどんな仕事も事前準備とクローズが大切ということですね!(笑)